Baldwin's、2023年10月の競売に18世紀の政治トークンを出品
貨幣商・競売会社の Baldwin's は2023年10月9日、同月11日の競売に18世紀後半のトークン・ハーフペニー(私鋳の代用銅貨)のコレクション「Patrick Deane Collection」を出品すると案内しました。記事は、1790年代の小銭不足から生まれたトークンと、トマス・スペンスらが作った政治的な図柄を紹介しています。
訂正(2026年10月13日) 題・要約・本文を出典に合わせて全面的に書き直しました。出典に無い投資価値・市場の見通し(「投資資産へと変わりゆく価値」「学術的再評価の転機」など)、大学や博物館の関心、識字率や磨耗の分析、ロイヤルミントが小額紙幣を供給できなかったとする記述を削り、出典が述べる小銭不足の経緯とトマス・スペンスらのトークンを記しました。旧題は「18世紀政治トークン・ハーフペニー:Baldwin's10月競売に表れる非流通代用貨幣の投資価値」です。

※この記事は、貨幣商・競売会社の Baldwin's が2023年10月9日にブログで公開した紹介記事に基づきます。記事は、同社が2023年10月11日に開く競売を案内するもので、競売の結果は書かれていません。
18世紀後半のトークン・ハーフペニーのコレクション
Baldwin's は、2023年10月11日の競売に、18世紀後半のトークン・ハーフペニー(半ペニー銅貨の形をした私鋳の代用貨幣)のコレクションを出品すると案内しました。コレクションの名は「Patrick Deane Collection」です。
同社によると、出品されるハーフペニーの多くは未使用の状態(ミント・コンディション)で、前回競売にかけられたのは20世紀初めでした。
小銭不足から生まれた「トークン」
記事によると、1790年代の英国では小額の銅貨がひどく不足し、日々の小さな取引に大きな支障が出ていました。
この問題に応えたのが、アングルシー島の銅山でした。銅山は、採った銅でそのまま貨幣を作りました。王の貨幣をまねるのではなく(王の貨幣の偽造は死刑でした)、公式の貨幣と同じ重さの独自の貨幣を作り、「トークン」と呼びました。トークンは、発行者のもとで正規の貨幣と引き換えることができました。
この方法は広まり、1790年代を通じて英国中の商人や店主がペニーやハーフペニーを作らせました。記事は、この10年間に人々がポケットに持っていた銅貨は、すべてこうした私鋳の貨幣だったと述べています。その種類は数千に及んだとしています。発行者はやがて、流通する貨幣が広告に使えることに気づきました。ロンドンでは数百の店がトークンを出しました。
トマス・スペンスの政治トークン
ニューカッスル出身の教師トマス・スペンスは、1792年にロンドンに移り、その2年ほど後にホルボーンで「Hive of Liberty(自由の巣)」という書店を開きました。急進派で、議会の「民主的改革」を求める通信協会(Corresponding Society)の活動的な会員でした。記事によると、スペンスは扇動罪で有罪とされたことはありませんが、ニューゲート監獄に3度、短期間入りました。
スペンスは、流通する貨幣が宣伝に使えることに目をつけ、自分の社会・政治思想を表したトークン・ハーフペニーを大量に作り、店で売りました。記事は、店を訪れた人が数千枚のトークンが山積みになっているのを見たと伝えています。
記事が紹介する図柄には、次のようなものがあります。
- 土地の権利書を燃やす大きなかがり火の周りで2人の男が踊る図と「The End of Oppression」の銘 - 「RENTS」「TAXES」と書かれた荷を負ったロバと「I was an ass to bear the first pair」の銘 - 口に南京錠をかけられ、手かせをはめられた男の図 - 水兵が市民を海軍に強制的に連れて行く図と「British Liberty Displayed」の銘 - (フランスの)雄鶏が(英国の)ライオンの上で鳴く図と「Let Tyrants Tremble at the Crow of Liberty」の銘
記事によると、スペンスは大逆罪で逮捕されました。記事は、ジョージ3世の頭とロバの頭を合わせた図柄のトークンがその原因だった可能性が高いとしています。
型はスキッドモアへ
記事によると、スペンスは1796年から1797年ごろ、破産寸前となり、トークンの型(ダイ)を近くのハイ・ホルボーンでトークンを製造・販売していたジョン・スキッドモアに売りました。スキッドモアはその型を組み合わせてトークンを作り続け、反対の政治的立場のトークンも作りました。
ほかの立場のトークンと奴隷制反対のトークン
記事は、この時期の政治トークンの大半はスペンスが作ったとしつつ、ほかの立場のものもあったと述べています。バーミンガムのボタン製造業者ウィリアム・メインウェアリングは、1794年に反フランスの風刺トークンを作りました。
コレクションには、手かせをはめられたアフリカ人奴隷を描いたハーフペニーも含まれます。記事によると、これは初期の奴隷制反対の団体のために作られたもので、1790年代後半に発行されました。発行した団体が誰かは分かっていません。銘は「Am I not a man and a brother」です。
出典: Baldwin's「Remarkable Collection of 18th Century Political Tokens」(2023年10月9日)
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