2026年10月25日(日) 令和8年

コイン特集

1644年のクラウン銀貨に刻まれた英国の内戦

チャールズ1世のオックスフォード・クラウン

Prologue

1644年、英国内戦のさなかに、国王チャールズ1世が本営を置いたオックスフォードの造幣所で打たれたクラウン銀貨です。表にはオックスフォードの町並みの上に馬を進める国王、裏には国王が掲げた戦いの目的――プロテスタントの信仰、イングランドの法、議会の自由――が刻まれています。版を彫ったのは、1643年にオックスフォードで印章・刻印・メダルの彫刻師に任じられたトマス・ローリンズです。

At a Glance

発行国
イングランド
発行年
1644
額面
クラウン
デザイナー
トマス・ローリンズ
直径
44 mm
材質
銀
発行枚数
不明

発行の背景

国王の本営となったオックスフォード

英国内戦のあいだ、チャールズ1世はオックスフォードに本営を置きました。アシュモレアン博物館の解説によれば、造幣所は1642年1月にニュー・イン・ホール(現在のセント・ピーターズ・カレッジの敷地)に開設され、シュルーズベリーとロンドン塔の造幣所の監督官だった人物が運営しました。

造幣所の終わり

造幣所は、町が2度目の包囲を受けて議会派に明け渡された1646年の5月か6月に閉じられました。同館は、オックスフォード・クラウンをこの造幣所の相当な量の生産の「ごく一部」と説明しています。

図像と銘

表面

オックスフォードの町並みの上に、馬に乗った国王が描かれています。外周の銘は「神の恩寵によりグレートブリテン、フランス、アイルランドの王チャールズ」という意味のラテン語です。

裏面

外周に詩編68の一節「神よ立ち上がりたまえ、敵を散らしたまえ」(EXURGAT DEUS DISSIPENTUR INIMICI)。中央には、プロテスタントの信仰・イングランドの法・議会の自由を守るという、国王が内戦で掲げた目的が略語で刻まれ、「オックスフォード 1644」の年記が続きます。

彫刻師トマス・ローリンズ

版を彫ったのは、1643年にオックスフォードで「印章・刻印・メダルの彫刻師」に任じられたトマス・ローリンズです。ローリンズはこの貨幣に、百合でできた十字という自分の印を入れています。

現存例と見分け方

博物館の所蔵品

アシュモレアン博物館の所蔵品(HCR6571)は銀製、直径44mmで、1760年にボドリアン図書館から移されたものです。同館はこの貨幣を「非常にまれ」としています。

複製に注意する

名高い貨幣であるため、後の時代に作られた複製があります。オークションでも「名高いオックスフォード・クラウンの複製」として出品された例があります(Spink, lot 5010118)。購入の際は、出品の説明と鑑定の記録で本物か複製かを確かめてください。

価値・希少性

アシュモレアン博物館は、このオックスフォード・クラウンを「非常にまれ(very rare)」とし、造幣所が打った貨幣のごく一部にすぎないと説明しています。同館の所蔵品(HCR6571)は、1760年にボドリアン図書館から移されたものです。

まとめ

オックスフォード・クラウンは、国王が本営を置いた町と自らの大義を、そのまま刻んだ一枚です。町並みの上の騎馬像と、信仰・法・議会の自由を掲げる銘は、この銀貨が支払いの道具であると同時に、王党派の主張を運ぶ媒体でもあったことを示しています。

この一枚が置かれる場所

近世 イングランド 1644

Sources & Verification

Research
GNJ Numismatic Research Desk
Last updated
2026年10月10日

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