19世紀米国の3セント民間紙幣 硬貨不足の時代の記録
Numismatic Newsは2026年2月17日、19世紀の米国で商店・銀行・自治体などが発行した3セントの紙幣を紹介する記事を掲載しました。1814〜1816年の初期の紙幣と南北戦争期の紙幣を写真とともに取り上げ、1862年に政府の少額紙幣ができて民間の紙幣が消えていった経緯を説明しています。
訂正(2026年10月13日) 題・要約・本文を出典に合わせて書き直しました。出典にない「収集市場での高い評価」「生産数が限られた」「掲示板で関心が再燃」などの記述と、政府が3セント紙幣の印刷を認めたとする記述を削り、主題が民間の旧紙幣(obsolete notes)であることと、2026年2月の記事であることを明記しました。旧題は「硬貨不足が生んだ米国の3セント紙幣:南北戦争期に流通した民間発行通貨の記録」です。
※この記事は、2026年2月17日にNumismatic Newsが掲載した記事「3¢ U.S. Obsolete Notes」に基づきます。記事は、現在は通用しない低額の「旧紙幣(obsolete notes)」を扱う連載の一回で、今回は19世紀の米国で民間の商店・銀行・自治体などが発行した3セントの紙幣です。筆者は、2025年5〜7月号の「Bank Note Reporter」で1セントと2セントの紙幣を取り上げており、今回はその続きです。
硬貨が足りなかった時代
記事によると、1812年の米英戦争の後の不況の時期に、硬貨が広くため込まれ(退蔵され)たため、低額の紙幣が多く発行されました。ほとんどは民間企業、銀行、自治体が作ったものです。
南北戦争の時期にも同じことが起き、金や銀の価値を持つ硬貨が不足しました。記事は、ゴールドラッシュが終わって西部の鉱山が枯れ、金銀が手に入りにくくなったことも状況を悪くした、と書いています。
硬貨が足りないため、商人や金融機関は商売を続けるために自分たちの紙幣を発行しなければなりませんでした。記事によると、1862年の1日の賃金は1ドルで、3セントでパン1斤、郵便切手1枚、または燃料半ガロンが買えました。
民間の紙幣の弱点と、政府の少額紙幣
民間の紙幣は、多くの場所で受け取ってもらえませんでした。発行した事業者が倒産すれば、その紙幣は価値がなくなりました。
記事によると、1862年には先行きの不安が大きくなり、当時の米国財務官フランシス・スピナーが、政府の少額紙幣(フラクショナル・カレンシー)を作りました。あまり歓迎されませんでした(人々は硬貨を好みました)が、米国政府の裏付けがある、ずっと良い代わりの手段だった、と記事は述べています。
民間の紙幣は南北戦争の終わりまでにほぼ姿を消し、政府の少額紙幣に置き換わりました。少額紙幣の時代が終わる1876年には十分な硬貨が作られ、1ドル未満の紙幣は必要なくなりました。
1814〜1816年の紙幣
記事は、写真とともに多くの3セント紙幣を紹介しています。初期の例には、1814年12月27日付のフィラデルフィアの有料道路会社(Germantown and Perkiomen Turnpike Road Company)の通行料の紙幣や、1814年12月26日付のニューヨーク市(Corporation of the City of New York)の紙幣があります。
1816年1月1日に署名された紙幣は、アルバニーから16マイルの「Great Western Turnpike」沿いの居酒屋兼商店のものです。記事によると、アルバニーに通じる有料道路は3本あり、1799年から1811年にかけて作られました。1825年にエリー運河が開通するまでは利益を上げていましたが、1830年代の鉄道の登場でさらに商業上の価値が下がり、1850年代半ばまでに通行料の徴収は終わりました。
南北戦争期の紙幣
南北戦争期の例は、ペンシルベニア州、ニューハンプシャー州、ニューヨーク州、マサチューセッツ州、ニュージャージー州、オハイオ州、コネチカット州などの商店や銀行のものです。
- 「R.R. Higgins Oyster House」の紙幣(1863年1月1日付)は、ボストンのメイヴェリック銀行で引き換えられるもので、裏面には、記事によればこれほど低い額面では珍しい凝った渦巻き模様があります - 1862年11月1日付のブルックリン銀行(ニューヨーク)の紙幣には、実業家J・P・モルガンの彫刻された署名があります - ペンシルベニア州アレンタウンの既製服の商人フランクリン・ナウス(Franklin Knauss)の紙幣(1863年1月24日付)には、「CHEAP FRANK」と書かれた旗を鼻で運ぶ象が描かれています - フランク・レスリーの出版社(Frank Leslie’s Publishing House)の紙幣もあります。記事によると、同社は1855年に創業し、ニューヨーク市で72年間、挿絵入りの雑誌を出していました
記事には、硬貨の釣り銭がないときに渡された、場所も店も銀行も書かれていない紙幣も載っています。
政府が出した3セント紙幣
記事によると、米国財務省が発行した3セントの少額紙幣は1種類だけで、1864年12月に出た第3次発行のものです。ミシガン州アナーバーの L.W. Wallace & Co. と Miller, Davis & Webster が出した片面の紙幣(1863年1月付)は、財務省の第1次発行の5セント郵便紙幣の図柄をまねています。
学校の紙幣と、20世紀の子ども向け貯蓄券
学校の紙幣もあります。イーストマン・カレッジの3セント紙幣は4点が紹介されており、その一つにはハーヴェイ・J・イーストマンの肖像が描かれたものがあり、記事によると同校は1859年に創立されました。コネチカット州ニューヘイブンの商業学校、イェール・ビジネス・カレッジの紙幣は、学校内の通貨としてだけ引き換えられるものでした。
最後に、子ども向けに売られた20世紀の貯蓄券2点が紹介されています。1912年付の「Stork Systems of Savings」のものと、1923年ごろに「National Children’s Savings Association」が出したものです。
出典: Numismatic News「3¢ U.S. Obsolete Notes」(2026年2月17日)
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